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名古屋城特別展 二条城二の丸御殿と名古屋城本丸御殿 [日記]

先週末は、名古屋祭りだったので、名古屋城に登城してきました。

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名古屋祭り、恒例の山車揃え。奥は愛知県庁です。名古屋城ではありません。

なんで、わざわざ、こんなに人がいっぱいいるときに名古屋城に行くのか・・・

それは、今、名古屋城で開催されている、「名古屋城特別展 二条城二の丸御殿と

名古屋城本丸御殿」展を見るためです。

通常は、名古屋城の入場込みで、800円ですが、名古屋祭り中は、名古屋城の入場がただなので、展覧会は、400円でした~お得。。。

名古屋っこは、こういうの好きですね~それでも、こんな展覧会に400円払ってまで・・・というお客さんは少しでした。汗

まあ、会場自体が狭いので、このぐらいの値段でも、高いと思う人はいるでしょうね~

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高級な図録を買ってしまいました。汗 

この図録、はっきり言って、何の解説もしていないです。汗 どこにどんな絵があったかという説明は書いてありますが、作者のはっきりしない障壁画について、誰が描いたかとか、そいうことこは、一切なしです。汗

写真も小さいのですが、なんとか、スキャンしてみました。

いつも通り荒い画像で申し訳ないですが・・・

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名古屋城 表書院煮二の間西側襖絵左2面。

○松楓禽鳥図(慶長19年 1614)

です。名古屋城本丸は、狩野探幽率いる、江戸狩野の障壁画で飾られていたようですが、

この襖絵は、松に2羽の鳩、かけす、紅葉、渓流、笹となっていますが、笹の上の花がなんだかわかりませんでした。汗

笹に桔梗だそうです。それで、紅葉と桔梗の花が秋の風情となっていますが、

園芸をする人は、この花は見たことがあるけれど、葉っぱが違うから、違和感を感じると思います。

ちなみに、私は、花の形からして、竜胆(りんどう)かな・・・と思いましたが、そうすると、笹竜胆で、源氏の家紋になってしまうので、まあ、うがった見方をすれば、徳川家が源氏系なのをあらわしているとか・・・考えられなくもないですが、

一応、解説は、桔梗ということになっています。

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(図録の小さい写真から)

○松孔雀図 二条城二の丸御殿 大広間三の間北側襖絵(寛永3年)

この展覧会では、誰が作者かは、表示してありませんでしたが、一般では探幽筆と言われています。

もっとも、彩色の大画面なので、一人で全部描いたかと言われれば、もちろん弟子が手伝っていると思います。

それにしても、この圧倒的な松は、いわゆる京狩野と呼ばれる、スタイルに近いのではないかと思いました。

狩野永徳の”巨木”というものの描写を踏襲していますが、永徳に比べると、やはり軽い印象を受けます。

実物を見た限りでは、松の幹には、剥落がかなり見られて、後世の補筆のような無残な彩色が大部分をしめていました。

狩野派の彩色松は、松皮を全体に施しませんが、やはり、墨で力強く書かれるのが特徴なので、まったくそれがいられないのは、少し変な感じがしました。

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それでも、ものものしい、厚手の金箔の不揃いな箔足は、ちょっとしたみものです。

松の葉も、多くが後世の補筆であるといわれて言いますが、金箔も、地の紙も焼けていないので、岩緑青(孔雀石の粉)じゃないかなあ~とかってに思っていました。笑

(ほかにも、緑青を使った絵はありましたが、地が黒茶に変色していることが時々見られたので)

左端にいる孔雀の繊細な筆跡は、狩野派の粉本主義といわれるかもしれないけれど、松、金に引けを取らない風格を持っていました。

二条城では暗くて遠いので、こんなに近くで見ることはできないと思いますが、襖の下の端は、経年、黒くすすけているのか、墨でぼかしてあるのか、金箔の画面に奥行きを与えていました。

名古屋城本丸由来の襖絵には見られなかったので、興味深く見ていました。

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○雪中梅竹鳥図 名古屋城本丸御殿上洛殿三の間北側襖絵 寛永11年(1634)

作者は書いてありませんが、これも、探幽だといわれています。

水墨画に、金砂子、金泥が散らしてあります。常設展示で、まじかで見られて、写真も撮れます。

写真は右端一面のスズメが集まっているところ。

全体の構図は右から老梅が、立ち上がりつつ、左へ向かって降りていく構図で、水墨画なので、雪の部分は、紙を白く残しています。

また、彼の特徴である、軽妙淡麗がよく表れていて、左端の襖は、一羽の尾長鳥が中央右側の襖の尾長鳥を眺めています。(その尾長鳥は欠損していて、尾っぽしか見えません)

何も書いていないようで、金砂子が大画面をつないで、清澄な冬の日の光を感じさせます。スズメたちの愛らしい姿も、写生をよくした、探幽らしいですね。

それから、今回の展覧会で、面白かったというか、珍しいなあと思ったのは、

○風俗図(風呂・刈入)慶長19年(1614) と、

○風俗図(吉田神社・田植え・上賀茂神社) 慶長19年(1614)です。

永徳の時代に、風俗画の長谷川派と、はりあってから、狩野派は、日本の風俗画をあまり書かなくなりました(平安とか王朝風なものは描きましたが)。

それにも拘わらす、格式のある、対面所上段の間に風呂に入っている姿や、田植えをしながら踊る人たちを描いた絵が配置されていたのには、興味深いものを感じます。

何せ、探幽は、長谷川派の名前を歴史から消そうとしていたくらいなので、この風俗画は、ちょっとした見ものでした。笑

洛中洛外図など、桃山の雰囲気を濃厚に残す物もありますが、江戸に入ってからは初期狩野派にしか見られない、面白いものです。

個人的には、そんなに上手とは、思えないけれど、「こういうものも描けます」という、気概がかんじられました。笑

とまあ、1フロアにそんなに多い数の絵ではありませんでしたが、何せ、二条城の襖絵の本物がすぐ目の前で見れたり、名古屋城の運よく戦火をまぬがれた、探幽の周辺の丁寧な作業を見られたのは、すごく良かったです。

狩野派が、日本の絵をだめにしたという人もいるけれど、まあ、狩野派は、狩野派でそれなりに頑張っているし、何より、表現の幅が、それ以前に比べて、広くなっているのも魅力です。6m以上の松を室内に出現させるその感覚は、やはり評価してもいいと思うんですけどね~

眼福でした。(#^.^#)


2012-10-27 14:19  nice!(11)  コメント(4)  トラックバック(0) 
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コメント 4

nano

襖絵ってホント見事ですよね♪
by nano (2012-10-27 14:42) 

Akira

これだけのものがそろってたら壮観でしょうね~
でも、解説のない図録って…^^;
by Akira (2012-10-27 23:41) 

koji

nano さん。
まいどです!コメントありがとうございます!
本当です。京都は、第二次世界大戦で燃えなかったので、貴重な襖絵がいっぱいありますよね。
こういう展覧会は、おなじみであまりやってくれないので、笑
個人的には、とってもありがたいです
by koji (2012-10-28 10:03) 

koji

Akira さん。
まいどです。コメントありがとうございます!
そうですよ!二条城は模写が結構入っているから、オリジナルを見られるのは、なかなか貴重です。
会場は狭いので、出品点数はそれほどでもないのですが、それでも、名品ぞろいで、圧巻でした。
図録、解説はあるのですが、自分が知りたい情報は書いていないというか・・・笑
視点の違いですね。どちらかといえば、歴史学的視点で書かれていました。笑
by koji (2012-10-28 10:06) 

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