SSブログ

「サーカス象に水を」 [読んだ本]

「サーカス象に水を」サラ・グルーエン著  Sara Gruen(Water for Elephants)

を読みました。日本語で。

2871827

(画像は全然関係ないですが、まあ、大衆娯楽ということで。)

はっきり言って、なかなか重い話でした。汗

前評判で面白いと聞いていたのですが、自分の好きなタイプ(奇想天外な天才の書いた話。笑)の面白さとはちょっと違うような・・・

でも、すごく、すご~く良く書けていると思いました。

小説が好きな人は、こういう丁寧な描写の本を読むと、うれしくなってしまうと思います(私も含めて)。

よく、この中で、昔のサーカスの”見世物”としてのヤ○ザさとか、愛の物語とかを、

この小説の真髄という人たちを見かけるけど、

どう読んでも、私にとっては、「友情」をテーマにした話にしか思えなかったです。

私のお気に入り小説は、必ず「友情」が入っています。笑

だから、この小説の重い社会背景とか、人間関係とか、全然将来が見えない、不安とか、そういった”お話”中にまで現実を見たくないと思う気持ちを、おいておいても、

その根底に流れる「友情」の交流こそ、私にとっては、唯一の救いのような小説でした。

「壮絶な愛を貫いて」とかいう、恋愛至上主義で、”友情なんて二の次!恋愛を取って何が悪い!”と考えている人には、物足りないと思います。

なにより、主人公のジェイコフ・ヤンコフスキという人が、いろいろな人たちの友愛(鳩○ではないけれど)を受けていくところに、心が温まります。

物語中で、

「93歳で何が悪い!(原文では、”So what if I'm ninety-three?")」と叫ぶところがありますが、

私は、そこで、どうしようもなく泣いてしまいました(その前後がすごくいいんです)。

そこには、信じられないような友情の思いやりがあふれていました。

何もままならない人生で、「(自分は)○○で、何が悪い!」と言って、皆、自分にはっぱをかけて生きていくんだなあと、激しく共感しました。

物語は、最後の方になるまで、とりとめもなく進んでいきますが、最後の最後で、見事なエディングにまとめあげた、サラ・グルーエンという著者は、自書の中でもいっていますが、

良くやったもんだ。と思いました。

ちなみに、日本語版にはありませんが、英語版には、ヤンコフスキが若いときの設定の時代の、本当のサーカスの写真が何点か掲載されていて、よりいっそう、その当時の雰囲気を演出していました。(というか、サーカスの写真から、物語の着想を得たようなことが、書いてありました。)


2011-08-09 11:31  nice!(8)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 8

コメント 4

Ranger

なるほど
でも、観てみたいかも!

by Ranger (2011-08-09 14:28) 

Akira

なるほど…
「(自分は)○○で、何が悪い!」って結構胸に刺さりそう…
ちょっと気になる本ですね。
by Akira (2011-08-09 20:52) 

koji

Ranger さん。
まいどです。コメントありがとうございます!
今は、もう、映画化されているようですね~
かなり長い話ですが、映画で見るのも手ですね~(#^.^#)
by koji (2011-08-10 15:42) 

koji

Akira さん。
まいどです!コメントありがとうございます!
この台詞、お話の中の前後の関係で、すごくいいんですよ!
英語では、「だから何だってんだ!俺が93だとして。」のほうが近いけど、
やっぱりうまく訳したなあ~と思いました。
映画化されていますが、心温まるエンディングになっていますよ。(#^.^#)
by koji (2011-08-10 15:50) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。