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いい日本美術が見たい! 池大雅 中国へのあこがれ展 編 [日記]

次は文人画の池大雅(いけのたいが)です。

場所はニューオータニガーデンコート6F! 別にホテルなんかで気後れしないけど、

他のお客さんは、結婚式やら、お食事やら、はたまた宿泊のお客さんやらで、なんかきらびやか。汗

私は、まあ、硬いジャケットは着ていたけれど、運動靴・・・汗 

ニューオータニ美術館・・・ロッカーなんか存在していなくて、ホテル側の立派なクロークに荷物を預けます・・・汗

ikenotaiga1.jpg

池大雅展の豪華な図録でございます~

池大雅はそんなに有名じゃないかもしれないですね。

自分もそんなに知らないです。日本美術史の本には必ず登場する文人画の大家ですが、

なにがそんなにいいの?

なにがそんなに天才なの?

と思ってしまいます。

例えば、私の敬愛する、俵屋宗達大先生は、天才といわれれば、そのとおりで、

普通の人知を超えたとんでもない物を造りだしたりして、天才の名をほしいままにしているけれど、

池大雅の独創性ってなんだろう・・・と思ってしまいます。

それで、一応、池大雅について、下調べをしてみましたが、7歳のときに中国の高僧に、書を見せたところ、天童!と褒められたそうです。

それから、彼の生きている間に受ける数々の賛辞は、もう、天才天才で、褒めまくりです。

今、この時代に、池大雅を、そういった、昔の人の評価を抜きにして、ただ、絵画としてみてみると、

のどかに、そして憂いのない文人画。まさに文人画という文人画。

かなあ・・・と思いました。

本当のところは、この穏やかさに至るまでには、数えで4歳のときに父親と死別して、15歳で扇屋を始めるなど、苦労しているのだけれど、

能天気なまでに、ほんわかしている。

技法的には、彩色を使って、水墨的な濃淡を表現したりしている(らしい)ところが、独創的なのですが、

なにより、生活苦の影がないです。spacer.gif

ニューオータニ美術館のリンクです。↓

spacer.gifhttp://www.newotani.co.jp/group/museum/exhibition/201110_ikeno/index.html

ここに、沈香看花図屏風(右隻)という個人蔵の作品が掲載されていますが、

左隻には、楓林停車図があります。

私は、この前に置かれた椅子に座って、じっと両方の屏風を眺めていて、

絵の上に書かれた賛と絵の取り合わせに、この人の天才と呼ばれるゆえんがあるのでは・・・・

と感じました。

それは、絵も書も、どちらも、威張っていない。

でも、ちゃんとした知識の裏打ちがあるから安心して眺められる。

そういう”優しい人柄”が、見る人に、賛の詩の世界へ入ることを、すごく助けている気がしました。

要は、外国(中国)のよくわからない詩と、バックグラウンドにも、事情というか話があるんだけど、

池大雅は、「でも、こんなに面白い物なんだよ~」

と身近に引き寄せることに成功していると思いました。

描こうと思えば、もっと格式ばった中国式だってある文人画(文人画はもともと素人(絵師じゃないひと)の描く絵だから、格式なんてないのかもしれないけれど。それなりにスタイルというものは確立されている)を、

ほんわかした、夢の世界にしてしまった感じ・・・

妙に構えて、こうあるべき!というのを取っ払ってしまった感じが、大雅のすごいところなのかな~

と思いました。

見ていて疲れないのです。感動!とか、すごい!とかじゃなくて、もう、何時までも眺めていられる感じ。笑

ちなにみ、上の沈香看花図の賛は、

一枝濃艶露凝香 雲雨巫山枉断腸 借問漢宮誰似得 可憐飛燕倚新粧

です。解説によると、玄宗皇帝が、楊貴妃の美しさについて、李白に書かせた詩に由来しているそうです。

文人画って、どうしても、描く人の性格とか、心の内面の表現になってしまうので、こんなに素直に明るい絵を描く、池大雅って、大変な人生だったかも・・・・

と少し、まぶしく、そして、危うく壊れやすい物を見るような、切なさを感じました。


2011-11-18 10:40  nice!(12)  コメント(4)  トラックバック(0) 
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コメント 4

nano

何を以って惹かれるかって
表現が難しかったりもして
評価されない作家も多い中
評価されてるのはやっぱり
素晴らしいのでしょうね?
by nano (2011-11-18 14:28) 

Akira

やはり、何かしらあるんでしょうね。
それだけ天才といわれる所以って…

by Akira (2011-11-20 23:01) 

koji

nano さん。
まいどです!コメントありがとうございます~
おっしゃるとおりです。ぱっと見ると何がそんなに天才なのかサッパリ分かりませんでしたが、
じ~と見ていると、だんだんそのよさが分かってくるような・・・
好みもあると思うけど、難解であるべきを覆した部分は、いいな~と思ってしまいました。(#^.^#)
by koji (2011-11-22 13:35) 

koji

Akira さん。
まいどです!コメントありがとうございます~(^o^)丿
そうですね~素人(私も含めて)は、ふ~んと思って通り過ぎてしまうような絵なんですが、
すこし心に余裕をもって、「はいはい池大雅ね。もう見たよ。」
と通り過ぎずに、ぼんやり眺めることができたら、
大雅ってなかなかいかも・・・と思えてくるかもしれません。
by koji (2011-11-22 13:40) 

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