森理恵著 「桃山・江戸のファッションリーダー」 [読んだ本]
最近、「桃山・江戸のファッションリーダー」という本を読みました。
その”ファッションリーダー”という軽い言い回しとは別に、なかなか面白い
論文でした。
寛永から元禄のファッションをリードしていたのは、振袖を着た小姓、元服前の男子である!
という話で、遊女ではない!と言い切られていました。汗
確かに、当時の屏風絵や風俗画から、なるほど、と思われる論旨がたくさん提示されていました。
そして、(私の意訳です。)位の高い女性ほど、古風な衣装を着ていて、小姓、元服前前の男子は、流行の先をいっている。としていました。
それは、見られる存在としての”小姓”だからこそ、ということらしいのです。
では、遊女は?彼女達は隔離された特殊な空間で、特殊な文様の衣装を着ていたようである、そうです。かつて、堅気の若い女性が、舞妓の姿にお遊びでなるということもあったようですが、
桃山~江戸期では、社会階層が確立されているので、それも、ほんの一時のおあそびに過ぎないと、思いました。
確かに普通の娘が、ある種の職業的服装をしていることによって、その商売をしていると間違えられるのは、困りますからね。汗
町方の女性はその点で、武家の女性に比べて、おもしろい流行の変遷を辿っているようです。
そして、何より、この著書のすごいところは、「終章 日本服飾史の成立」という章で、
それこそ、今までの、日本服飾史の研究へのカウンターアタックになっていました。
激しく、そして、挑戦的な内容です。
いままでの、”ファッションリーダー”が序章で、終章が隠し本章として、過激にそして、理論的に展開され、
少なくとも、”着物”を好きな人間としては、
「は~近代日本の大日本思想計画は、今でも続いているのか・・・」
とはっとさせられるところがありました。
例えば、「日本衣服の特徴」として、「直線裁縫」「植物主生活」を挙げる過去の論旨に対して、
「「欧米」の衣服を「曲線的」「動物主生活」と短略的にきめつけていることと、「欧米」以外の地域や国家が視野に入っていないことの二点から、傾聴するに値しない主張である。」
として、切って捨てるおっしゃりよう!
でも、だからといって、私が着物を好きなのをやめませんが。笑
これからも、森氏には、強烈な視線で、日本服飾史に疑問を投げつけていただきたいと思いました。
終章は、論文なのに、手に汗を握る面白さでした!(>_<)
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