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ボストン美術館 日本美術の至宝展 後期 [日記]

先週のポリネシア祭りは、実は、名古屋ボストン美術館の後に見てました。

期間中2度目ですが、後期の入れ替えを見に行ってきました。

korin.jpg

尾形光琳の松島図屏風です。

今回は、雨の日曜日に行ったのですが、ものすごい人で、ゆっくり見られる状態ではありませんでした。

しかし、偶然、松島図の前から人がいなくなって、一人でじっくり眺めることができました。

俵屋宗達の松島図は、光琳より、もっと強烈で、パワーに満ち満ちていますが、

それでも、光琳の白波の表現は、とてもいいと思いました。

落款印章は、後入れらしいですが、一応、法橋光琳となっていました。丸印はよく読めませんでした。

zigokuzoshi1.jpg

地獄草紙断簡です。

画像が小さくてスミマセン。汗

もっとも、会場でもあまりに剥落が進んでいて、絵の部分は、ほとんど何が書いてあるか、わかりませんでした。

詞書は、はっきりしていて、読みやすい手でした。

平安時代のもので、「一銅釜地獄」のシーンです。

図録によると、詞書の書体から奈良国立博物館本の地獄草子(国宝)の断簡であることが、認められています。

どこのバ○が、売り払ったんでしょうね。。。信じられませんね。

比較的小さい断簡だったのと、地味な絵だったので、皆さん素通りされていました。汗

sansetsu1.jpg

狩野山雪 「十雪図屏風」 右隻。

雪にまつわる、10人の文人の話が描かれて言います。

山雪独特のしんと静まり返った画面は、市井の人々が雪かきをする姿を描きながらも、非常に静寂です。

雪が降った日は、音があまりしなくて、しんとしていることがありますが、それさえも感じられそうです。

sansetsu2.jpg

左隻。

中央下に松林がありますが、ここに洞窟があります。中に文人が寝そべって、外の雪を眺めていました。

混んでいて、迷惑だったかもしれませんが、やっぱりしゃがんで、畳に座った目線で眺めてみました。

この位置にある洞窟は、上から見下ろしているので、国宝源氏物語の俯瞰している感じがすごくしました。

自分は手前の山の上から、洞窟の入り口を眺めている感じです。

そのまま、視線を上にあげると、遠くに朱をおびた柱の屋敷が見えます。中では人々が集まって、床には皿や茶碗などが置かれています。いままで洞窟を見ていたので、急に温かく、楽しそうな座敷の眺めが、対照的に、目に入ってきます。

山雪は小さいところも妥協しないので、見れば見るほど、面白いです。

一本だけぽつんと背高く立っている、棕櫚の木が印象的でした。

今回は、平治物語では、惨殺のシーンが出されていました。とうとう会場では、立ち止まらないでくださいという、表示がだされていました。ゆっくり見てはいけません。ということで、はっきり言って、ゆっくり見られなかったので、余計に惨殺シーンが、恐ろしく脳内で増幅されています。汗

それから、吉備大臣入唐絵の新しいシーンをみていて、友人に、あることを聞かれたので、答えていたら、おじさんから、「静かに!」と怒られてしまいました。汗 小声で話していましたが、素人の解説が癇に障ったようです。

そのあとで、そのおじさんの携帯電話が鳴って、会話をしようとしていたら、ガードマンにやめてくださいと、叱られていました。笑 その時、私たちは、彼の顔をまともに見てしまいましたが、自分の失態に、真っ赤になっていました。

人様にマナーを注意して、その直後に自分が注意される・・・・何が正しいのかわかりませんね。

syohaku1.jpg曽我蕭白の名品です。商山四皓図屏風 左隻です。

蕭白は、そんなに気になるわけではありませんが、この屏風に見える、穏やかな面は、非常に好ましいですね。

いわゆる「奇想」といわれる、毒々しい絵よりも、おおらかで、穏やかな彼の絵は、見ているこちらもほのぼのと、優しい気持ちになるようです。

というわけで、今回は混んでいたので、あまりゆっくり見られませんでした。だめですね~TVでボストン美術館の特番でもやったんでしょうか・・・それでも、私は、別に日本美術の勉強をしているわけでもなさそうな人たちが大挙して、見に来るということに、ある意味で日本美術のファンの厚さを実感しました。

きっと、何かを心に持ち帰っていかれるのだと思います。

私は、狩野山雪の静かさの中に、どっぷりつかりながら、雪の積もった石の橋をこわごわ渡る感覚を思い出していました。


2012-11-15 11:52  nice!(9)  コメント(6)  トラックバック(0) 
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コメント 6

nano

どの作品も見応えありそうですね♪
by nano (2012-11-15 14:10) 

Akira

どれも良さそうですね~
ゆっくり見れたら良いんですが、なかなかそうはいかないんでしょうね。。。
by Akira (2012-11-15 22:59) 

koji

nano さん。
まいどです!コメントありがとうございます!
そうですね!本格的に日本美術をたっぷり見られるのは、そんなに機会が名古屋ではないので、見ごたえがありました。
今回はそれにしてもなぜか人が多かったです。汗
by koji (2012-11-16 13:14) 

koji

Akira さん。
まいどです!コメントありがとうございます(^^)/
はい。私の推測ですが、この展覧会が12月の9日までなので、深層意識で皆さんあせり始めているのではないかと思います。汗
私もそうでした。まだまだ、9月に一部展示替えして、あっという間に、今日に至っていますからね。
ゆっくり見られないのは、もう、静止を振り切って、ゆっくりみるしかないです。何か言われたら、これを見るために遠くから来たんです。というつもりでした。笑
by koji (2012-11-16 13:17) 

TANTANPEPE

はじめまして 大阪会場ゆっくり観てきました、こちら平日はさほど混んでない様子でしたが、絵巻物のところはさすがに.... KOJIさんの感想文共感できます。わたしも狩野山雪の静けさにどっぷり浸ってきたのと、漢文を典拠にした想像の絵画だと知って、うなるようなおもしろさを体感しました^^/
by TANTANPEPE (2013-04-11 14:05) 

koji

TANTANPEPE さん。
はじめまして。コメントありがとうございます!
大阪でも開催されていたんですね!
平治物語、吉備大臣入唐絵は、大人気ですよね。
狩野山雪の「十雪図屏風」は、その題材になった話が、いまだに諸説あって、どのお話からとった話題なのか、議論があるそうですが、おおむね、一つの漢詩ではなく、複数ものを”雪”をテーマに集めたようだといわれています。
屏風の前に立つと、水墨画を基調にしていますが、荒々しさがなく、とても静かですよね。
私は専門家ではないのですが、紙の白さがとても淡い墨の線を引き立てているので、下地にも十分気を配って仕立てられた、屏風かもしれませんね。
(*´▽`*)
by koji (2013-04-25 13:27) 

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