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江戸時代絵画 真の実力者 円山応挙展 [日記]

愛知県美術館で、「円山応挙展」をみてきました。企画の段階で2年前にちらっと話を聞いていたので、

どんな展覧会になるのか、とても楽しみにしていました!

fijikushizu.jpg

真の実力者・・・・応挙先生。

かわいい~!仔犬お好きなんですね・・・・

その藤狗子図もさることながら、

今回は、大乗寺の松に孔雀図襖、郭子儀襖が立体的にジオラマ展示されていました。

 一日の光の移ろいを、LEDライトを使って、いろいろな表情を金箔襖が見せていました。

この、金地襖、水墨画の場合、TVの再現で暗い部屋ではどのように見えるかというのを見たことがありましたが、

実際に見ると、墨の濃淡よりも、絵自体の存在がくっきりしていました。

応挙先生はそこを計算していたのがどうかはわかりませんが、

荒いタッチの松は、夕暮れにくっきりとその黒い影を落として、存在感を際立たせていました。

この松に孔雀襖のある客殿が西向きなので、夕方にはっきり浮き上がるさまは、実際の風景の中ではさぞ、壮観だろうと思いました。

逆に、郭子儀の金地彩色図は、北向きの部屋なので、北からの白っぽい光が、繊細な郭子儀の白い顎鬚まで、鮮やかに表していました。

大乗寺のリンクです。↓

http://museum.daijyoji.or.jp/02kyaku/02kyaku.html

 ちなみに松に孔雀襖の東裏面は、呉春の四季耕作図の収穫の場面が見られます。

応挙先生のスキのない絵をずっと見てくると、ここで、ふと微笑んでしまいます。

上手なだけが絵ではなくて、その人の感性が絵のよさだなあ・・・と、改めて思いました。

3月21日までの展示でしたが、

「国宝 雪松図 屏風」も出ていました。

yukimatsu.jpg

愛知県博物館は、展示ケースの下からの照明を強くしていたので、より朝日のイメージか強調されていました。

また、高さも、人の膝の位置まで上げてあったので、しゃがまなくても、目線が畳に正座した視線でともて、見やすかったです。

右隻はまっすぐな松の向こうに太陽が低い位置にあって、松の枝に積もった雪を透かして、影絵のようにみえました。雪の白さは、後から胡粉で描いたものでなく、地紙の白さを残しているそうです。

左隻は逆に正面から光を浴びているようでした。金泥を塗り残した白い部分さえ鮮やかにまぶしく、

まさに雪の朝の空気でした。

この屏風の折り曲げた状態で見る雪松図は、ちょっと立体的になっていて、鋭い金箔の屏風より鈍い光の金泥(しかも、量的には金泥のほうが金をたくさん使う)が、ほのぼのとした明るさで、

まさに「おめでたい」絵でした。

それから、今回の展覧会で、私が一番好きだなあ、よくかけているなあ~と思ったのは、

 sansui.jpg

三井記念美術館の「山水図屏風」です。

応挙先生の南画風な絵は、私はあまり知りませんでしたが、

とてもいいです。まさに「臥遊」できます。汗

道がちゃんとどこまでも続いていて、それをだどっていると、とても景色のよいところを歩いたり、松林の松葉の枯葉を踏む感触がよみがえったり(滑りやすい)とても、とても丁寧に描かれていました。

とにかく細密に描くというわけではないのに、こんなに丁寧に描かれているのを見ると、すごく見ごたえがあります。

この応挙先生の山水図は、芦雪にも受け継がれていますが、彼の心のままに表された、荒々しくそして、とても陽気な絵(時には信じられないほど暗い)に対して、応挙先生の山水図は、静かでうららかな、まさに絵の中を散歩するのにふさわしい感じでした。もちろん、応挙先生も、心の暗い部分はあると思うけれど、この抑制されたうららかさは、彼の人徳のなせる業のような気がしてしまいます。

全体を通して、応挙展ということで、そんなに派手ではありませんでしたが、お客さんもたくさん来て大盛況でした。

最後に、入場チケットの半券で、愛知県美術館所蔵の木村定三コレクションの修復作品公開の部屋で

与謝蕪村の「富嶽列松図」が展示されていました。

hugaku.jpg

横長の大きな掛け軸でしたが、

とてもよかったです。松はバオバブみたいに太く、力強いです。富士山よりも、松原のほうが印象が強かったみたいな気がしてしまいます。

それでも、清らかに白い富士山がひっそりとあることが、この絵の中でほのぼのとした、楽しさを引き立てていると思いました。

応挙展で、息を止めていた感じが急にリラックスして、絵を見られるようになったような気がしました。

応挙先生、呉春、蕪村、全然違う切り口の画家たちなのに、それぞれに、面白味を出していて、見ていて、ほんと、みなさん、絵が好きなんだな~という気がしました。

 追記、三井記念美術館の「山水図屏風」の部分で、「画遊」と、絵の中を想像して、歩くこととして、記載しましたが、

正しくは「臥遊」と記載するそうです。教えてくださったかた、ありがとうございました。訂正させていただきました。

タグ:円山応挙


2013-03-23 13:57  nice!(16)  コメント(4)  トラックバック(0) 

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コメント 4

nano

屏風も間近でみると一層素晴らしいでしょうね♪
by nano (2013-03-23 17:52) 

Akira

屏風、素敵ですねー♪
光の当て方で、違った顔を見せてくれそうな気がします。
by Akira (2013-03-23 21:56) 

koji

nano さん。
まいどです。コメントありがとうございます!
はい。おっしゃる通りです!
このブログでは小さく縮小しているので、その良さが、全然伝えられないのですが、
実際に見てみると、いいなあ~こうやって屏風に囲まれた空間は、いつもの部屋にいて、別の場所へ連れて行ってくれるような、楽しさがありました。
by koji (2013-03-25 11:40) 

koji

Akira さん。
まいどです!コメントありがとうございます(*´▽`*)
はい。特に、金地屏風の場合は、光の反射をすごく考えているはずなので、
高い位置からの照明(太陽などの光)と、低い一の光(ろうそく、行燈などの室内照明)で、かなり違った印象になると思います。
今回の大乗寺所蔵の襖絵は、照明が高い位置にあったので(会場の設営環境によるものだと思います)。お寺の深い庇の奥におかれている状態とは少し違うかもしれませんが、かつて、プライスコレクションの展覧会で、光を変える展示というのを踏襲した感じになっていると思います。
しかも、ガラスケースナスだったので、襖の状態は大丈夫かな・・・と少し、心配になりました。(いつもは特別な収蔵庫にしまわれているそうなので)
by koji (2013-03-25 11:46) 

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