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2013正月 着物編 その2 [着物]

実は今年の正月は、着物をもう一枚仕立てました。

と言っても、表に着るものではなく、襦袢と、着物の間に着る下着です。

昔は3枚重ねが正式で、上着、間着、下着に、襦袢、肌着、(袴、羽織)だったようですが、

だんだん、着物2枚の、表着下着の構成になって、現在では、男物で普通に重ね着を着ている人は、あまり見かけなくなりました。

kimono10.jpg

女性でも、着物を2枚重ねて普通に着ている人は、あまり見かけませんね。(舞妓さんとか、着物を見せる職業の方には見受けられられます。)

現在、式服などでは、白い下着の代用に、比翼という額縁仕立てのものを表着に付けていることが多いのですが、

そうではなくて、

実際に重ね着すると、どうなるか、実験したくなったのです。

上の写真は今回の用布です。

どう見ても女物ですね。汗

これは、仮絵羽の状態で、長いこと売れ残っていた訪問着でした。右身頃の折り目、特に前袖付のあたりのよごれがひどくて、二束三文で、売られていました。

私は、布端に丹後縮緬の印が見られたので、何かに使えると思って買いました。洗ってみると、ある程度の汚れは落ちるものの、やはり、完全に汚れを落とすことはできませんでした。

それでは、なぜ、着物に仕立てようと思ったのか・・・それは、地の色がごく薄い水色に、白い胡粉で、秋草(待宵草、藤袴など)を表し、部分的に淡彩で、葉っぱのみに、沈んだ緑が色差しされていて、

水の中で、銀色の屏風に秋草が書かれているような風情だったのです。

それを見たときに、このまま、染めかえて、何かに使うのはもったいないと思い、一度、着物に仕立てることにしました。

一回も人が着ていない新品なのに、こんな風に絹が扱われるのが不憫でした。

丹後ちりめんですが、しぼがそれほど立っておらず、いわゆる五枚繻子だとおもいます。重めです。

kimono11.jpg

仮絵羽の状態だったので、すでに断ち切りが決まっていて、柄付けも決まっているので縫うのが楽です。

また、絵羽模様は、肩山、などの要所に、仕立てる人のために印がつけているので、縫いやすいです。

ただ、身幅は、衽幅、前身ごろ、後ろ身頃と、そのままでは広すぎたり、狭すぎたりするので、柄がおかしくならないように、調整して縫います。

表身頃を縫い終わったところです。内揚げは、かなりとってあります。

胡粉で白く表された柄の部分はとても硬いので、針を一本折ってしまいました。汗

ここ4年ぐらい針を折ったことがなかったので、自分の技術の未熟さを改めて思い知りました。

きれいに早く仕立てるには、丁寧に!が基本なのに、柄がつながっていく面白さにあせってしまったようです。

kimono12.jpg

胴裏、八掛を縫い合わせました。

この訪問着の生地はかなり、ちゃんとしたものなので、共八掛がついていました。

そして、裏衽にも、表の藤袴と呼応するように、光琳松が控えめに描かれていました。

この、2枚の写真でもわかるように、すでにこの段階で裾合わせをしています。

たまに、ちりめんを縫うと、心が楽しくなりますね。

kimono14.jpg

裾を縫い合わせ、中綴じ、衿下縫い、衿付けまでしました。

実は、今回の裾ふきは、青梅綿を入れています!いつも化繊のふわふわした綿を使っていましたが、

なかなかどっしりしています。笑

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今回は、いつもと違って、袖を後から縫いました。

写真は袖口布を裏袖に千鳥掛けしたところです。

kimono15.jpg

袖をつけて完成です!

こういうしっとりした絹物を縫うと、楽しいですね。

これ、2週間ほどで縫いました。年末の忙しい時期にしては、最速です。

それでも、しつけを丁寧にして(しつけを使うのは私が下手だから)、縫えば、待ち針だけで縫うより、くるいがなくてよっぽどはやくてきれいな仕上がりです。

裾も、青梅綿のせいか落ち着きがありますね。

というわけで、着用例です。笑

表着、下着、二枚重ねです。

kimono17.jpg

表着は、前掲の紬、下着は、今回のちりめんです。

下着はごく薄い水色なので、紺色と合わせると、白っぽく見えますね。それこそ、礼装の比翼のようです。

実際は肌着、裾除け、襦袢、下着、表着、羽織を着ているので、結構どっしりしています。

表着と同寸に仕立てましたが、ちりめんなので、下がり気味なるので、衿下で外に出ないように、合わせ方を工夫しています。

十二一重じゃないんだから、重ねが裾や衿下にやたらと見えるのは見苦しいですよね。衿下、裾は表とほぼ同寸または、内側になるように着ています。

これじゃあ見えないじゃん!ということはありません。歩くときに、下着の裏衽は当然見えますが、下着の表も、ちらっと見えたりします。私は自分で見られないのですが、ひとには、あれ?!何着ているのかな?!と一瞬思わせるものがあるそうです。

なにより、すごく暖かいです。全身絹だし。笑

この日は、かなり寒かったのですが、コートがなくても余裕でした(足は、足袋だけだったので、凍えるように寒かったけど)。

この画像をみると、衿肩周りが厚いので、ゆったり見えますね。

身幅は、最近の自分の好みで、ぴったりではなく、自分の仕立て標準サイズより少し広めに仕立てています(だいたい、後ろ右左1cmずつ、前左右1.5cmずつ脇衽含めて。身丈1.5cm)。

着るときに、少し調整しますが、たいしたことではないです。合わせ方、褄の引き上げ方、背中帯上の緩ませ方などで、とても、着心地が良いものです。

私にとって、ぴったりサイズは、なんか着ていて、着物の良さが感じられないのです。普段、家で、ゆるゆるに着物を着て過ごしているので、外に出るときだけ、ジャストサイズの着物では、歩くものも、前身ごろがはだけるのが気になるし、衿も狭く合わせるのは寒いし、座れば、脛が出て見苦しい。お辞儀をすれば、衿が割れる。窮屈なんですよね。

なにより、せっかく絹を着ているのに豊かじゃないんですよね。

着物の仕立ては、布幅という制限があるにしても、ほぼ、オーダーメイドなので、どんな体形にも合わせて仕立てられるけれど、着方の好みということを考えてもいいと思うんですよね。

最近、男物では、江戸風に袖幅は狭く、丈は短く、身幅は狭く、ということばかり耳にしますが、

冬物にそんな着方を、わざわざするのを、私は好みません。

江戸っ子じゃないから、粋じゃないのかもしれないですね。武士じゃないから、活動的に着なくてもいいし。

私は、冬の着物はできるだけふくふくとゆったり、衿合わせも、身幅に余裕があって、寒ければ掻き合わせ、暑くなれば、緩められるぐらいの余裕があるのが好きです。

着物を着ています!と意識しなくてもいいほど、ゆったり着たいです。(写真を見ていただければ、お分かりになるともいますが、だらしなくという意味ではなくて、外見はそれなり収まっているけれど、着ているほうは、楽にという意味でです。)

今回の重ね着の実験、さらに遠くへ着ていきましたが、またそれは別の機会に。


2013-01-12 16:52  nice!(9)  コメント(6)  トラックバック(0) 
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コメント 6

nano

上品な柄で素敵ですね~ヾ(∇'〃)
by nano (2013-01-12 17:31) 

whitered

すごいですね!二枚も縫われたんですか?絹の着物を重ねると温かいでしょうね。着姿も何か堂々としてただものではない感じです。
by whitered (2013-01-13 11:22) 

Akira

確かに、ゆったり着る方が良いですね(^^)/
下着にもこだわるのはさすがですね♪
by Akira (2013-01-13 23:46) 

koji

nano さん。
まいどです。コメントありがとうございます~
ふふふ。私も初めは何とも思っていませんでしたが、
洗ってみて、なかなか好きな柄ゆきだということに気が付きました。
生地が良かったので、なかなかの出来上がりだと思います~
!(^^)!
by koji (2013-01-14 09:45) 

koji

whitered さん。
まいどです!コメントありがとうございます!
恐れ入ります!今年は、1枚目に着手したのが11月だったので、余裕があって、2枚縫いました。
実は、長じゅばんも、反物があったので、縫おうかと思いましたが、まあ、十分縫ったのでいいかと、思い直し、やめました。笑
袷を2枚着ているので暖かいです。しかもコート羽織のように、羽織ってうち放しではなく、帯で締めているので、下半身上半身も、暖かい空気がとどまって、なかなか快適でした。室内の暖かいところでは、暑くなるので、多少、衿元をくつろげますが、調節可能でした。
「ただものでない」笑 お褒めいただいてありがとうございます。
そういっていただけると、ちょっと変わった実験をするのも楽しくなります。
whitered さんの素敵な着物姿にいつも、私も刺激を受けています。
今年もたくさん着物を着ましょうね!
by koji (2013-01-14 09:54) 

koji

Akira さん。
まいどです!コメントありがとうございます!!(^^)!
はい。着物を着るときに気を付けるのは、だらしなくないこと、清潔なこと、だけでいいと思うのですが、そのほかは、各人の好みで、ぴったり活動的に着てもいいし、ゆったり非活動的に着てもいいし、どんなふうに着てもいいと思います。
非活動的というのは、前身頃の袷が深いので、裾さばきがどうしても、重いのですが、そんなにちゃっちゃと歩く衣装でもないので、それもありかな・・・と思います。上半身は、肩に布の重さがかかりますが、ほかの部分は、かなり余裕があって、衿合わせも、引っ張ればはだけるぐらいのゆるゆるさですが、表着下着2枚の重さで、落ち着いてくれました。中で体が動いても、「布団の中にいるような」自由さです。笑
今回の下着は、作るつもりはなかったのですが、生地が良かったので、実験的に作ってみました。なかなかいいものになったので、個人的には、うれしい限りです。
by koji (2013-01-14 10:02) 

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